ローターは単品で4キロ以上の重量があり、機構原理上、エキセン1回転でローターは3分の1回転します。
例えばエンジン(タコ)が6000回転では2000、9000では3000回転します。
4キロ以上の物体を2000回転以上でしかも偏心回転させるわけで、かつ、
爆発エネルギーを伴っているわけですから相当な負荷が常にエキセントリックシャフトには掛かっています。
ノーマル以上ではさらにその負荷は増大しゆがみ、丁度魚が水中で泳いでいるかのようにエンジン内部で暴れていて、付随するローターがサイドハウジング側に接触する事があります。
すると接触した瞬間に各シールの動きにブレーキが掛かり最悪ブローにつながることがあります。
その昔『ランド加工』と呼ばれたローター側面を削りこむ加工も多数実践テストしましたが、
ブローバイの問題やサイドシールへの直接的燃焼ガスと圧力の影響を考慮すると、競技用の域を出ませんでした。
また、ローターの頂点付近アペックスの両端のところは、特殊な焼入れが施されているため、
あまり多く削ってしまうと焼き入れが無くなってしまって弱くなるということも分かりました。
当社では長年にわたり、未然のブロー対策と摺動性の向上の為、『チップ加工』を完成させ、
耐久性を考慮した一般車両に施工してきました。この度、100/3〜5mm程度まで追い込んだ
より数値の安定した自社加工が可能になりましたので、加工の受付と製品の販売を開始いたします。
更に、2ローターの場合は2個の重量差をゼロに近づける『重量あわせ』もセットしています。
前後のローターの重量差をゼロにすることで、固有振動の発生を極力少なくし、高回転でのスムーズな回転を実現します。
この技術は特にドラッグレースからのフィードバックで、13BTで1万回転以上の高回転域での振動の激減というメリットから、当社のハイチューンエンジンで標準施工しています。高回転域を多用するサーキット走行、タイムアタック、レネシスでは特に有効です。
※1 重量あわせのみの単体加工は受け付けていません。
※2 当社で製造のREエンジンはすべて重量合わせを行っております。